言葉と映像

ご無沙汰しております。スタッフの藤岡です。

先日、シネマート新宿に「映画監督ジョン・フォード生誕120周年」の特集を見に行きました。デジタルリマスター化された『静かなる男』と『駅馬車』の二本立てです。

http://mermaidfilms.co.jp/johnford/

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いやー、やっぱり『駅馬車』は傑作ですね!

一般的に、オーソン・ウェルズ『市民ケーン』が、映画史上最高の作品だと言われたり、ランキングでも一位になっていたりしますが、僕は『駅馬車』の方がその位置にふさわしいのではないかと思います。『駅馬車』には映画の醍醐味の全てが凝縮されていると言っても過言ではないかと!

さて映画トークはここらへんでやめておいて、今日は少しショッキングな映像をご紹介したいと思います。

しかし、ショッキングとは言っても、映像表現として、とても強く意義のある作品です。

下記サイトよりご覧下さい。

 http://www.lowechina.com/our-work/human-traffic-sign/

これはビュイックという自動車メーカーが、中国で制作したCMです。

国内で交通事故にあった被害者やその遺族が出演。彼らに交通標識を持たせて街頭や道路脇に立たせ、「人間交通標識」となってもらう。作品は主に車の運転手の目線で、その「人間交通標識」たちを見るアングルになっています。

ショッキングですが、とてもすばらしいCMです。なぜでしょう。

多くの映像作品において、メッセージやコンセプトなどその作品の伝えたいことは、ナレーションや字幕などの【言葉】よって伝えることが多いです。しかし、このCMでは最後に字幕が一つ入るのみで、ほぼ【言葉】を使用していません。

「人間交通標識」たちの奪われた肢体や、怒りが含まれた冷ややかな眼差し、それらの【映像】のみでこの作品はメッセージを伝えています。何を伝えているかは一目瞭然でしょう。【映像】の力がとても強いので【言葉】を必要ないのです。私が先に説明した、作品の設定すら、このCMでは説明していません。それでも一見しただけでその設定も伝わります。

【言葉】によって伝えたいことを補足しないと伝わらない【映像】は記憶に残りません。それは【映像】としての力が弱いからです。【言葉】とは便利なものなので、【映像】はそれに頼りがちです。【映像】のみで伝えるといことはとても難しいからです。

しかし私たち映像屋は、このCMのように視聴者の記憶に残る強い映像を作り出していかなければなりません。それは、CMだけでなく、映画でもテレビでも同じです。

そういった映像としての本質的なことを考えさせられる素晴らしい映像作品でした。

それではまた!