「大統領選をマーケティングから見る」

米国大統領選挙は現代マーケティングの一部を見せてくれた。

大統領選のマーケティングの目的はもちろん「選挙選での勝利」。

トランプ氏陣営で優れていたのは政治信条とターゲットが明確であったこと。

そしてターゲットに対して徹底的なリサーチを行い、その結果を即座に対応に生かしていたことだ。

トランプ氏の戦略は

「過激な発言でマスコミの注目を浴びる」

「こまめなtwitterでの過激発言」

「その発言をまた支持者に即座にリサーチ」

「行動是正」

というPDCAサイクルを素早くしたこと。

例えばTV討論もマスコミは「クリントン陣営の優勢」と伝えていたが、トランプ陣営はリサーチを重ねておりマスコミのリサーチはどこ吹く風で、過激な発言とクリントン批判を3回の討論で是正することはなかった。マスコミはトランプ氏は戦略なしと評したが、彼の支持者アンケートではマイナス点にはなっていなかったのではないか。だから自信満々に続けたのではないか。

個人的にどちらの応援をしたかは別にして、最終戦接戦州で有名人を集めた

クリントン氏に対して、集会で赤いキャップ、時には作業用ヘルメットをかぶり「Change」と演説を繰り返したトランプ氏。クリントン氏の有名タレントと肩を組む姿は「俺たちとは違う」ということをトランプのターゲットである白人層に選挙直前にアピールした結果になったと思う。そしてマイノリティにも。

直前のマスコミでの支持率は2ポイントほどクリントン氏がリード、マスコミは選挙結果を見て「隠れトランプがいた」と自分たちのリサーチに疑いを挟まなかった。しかしマスコミのネット調査、電話調査の誤差範囲内であると思う。

時代の速度は速い、とりわけ感情に関する限り、数秒で変わることもある。

通常のリサーチと集計では間に合わないのだ。日本企業が大手代理店にマーケティングを丸投げしていると聞く。メーカーが営業部から課題を出し、それを社内でマーケティング・宣伝部門に提出、そして代理店用にブリーフシートが作られ代理店が受け取る。代理店は営業からマーケティング部門に渡し、そして社内で一揉みし仮説を作りそれを外部に委託する。この間で一月以上。そして多くはWEB調査へ。予算によって質問数を設定。そして集約したものを代理店が解析。そこで自分たちのビジネスがしやすい形で報告書をまとめる。最近、大手代理店の残業問題が取り沙汰されている。この問題は二つのことを示している。一つは労働環境を守ら無い企業風土。もう一つは高給をとり、会社と特定の飲食店通い、普通の生活をしない人たちが分析をする。こんな速度と、既存勢力では勝てないとトランプマーケティングは教えたのだ。

そしてトランプが強いのは、良かれ悪しかれ「なりたい者」ではなく「したいこと」があったのだ。大統領になりたいが先ではなく「強いアメリカを取り戻す」「白人中流層を取り戻す」ことの結果として大統領というポストがあったのだ、それを達成するためにマーケティングをフルに使っているのだ。

さて個人的に「大統領選をマーケティングから見る」をまとめると。トランプ氏は論点を「格差社会」に絞った。そして白人の低所得者をターゲットに、既得権益者とヒスパニックにその要因を定め攻撃を向けた。少なくとも彼の政治信条と目的が明快であった。この軸が今回の本来の大統領選の軸であったと思う。本来はサンダース氏とトランプ氏の戦いで次の時代が見通せたと思うのだが、クリントン氏はその論点を避け、漠然と女性、マイノリティ、多様性というイメージ戦略を中心にした、ブランドマーケティングという広告の手法で戦った。もし、サンダース氏が候補であれば、信条と信条でぶつかり合い、そして新しい道が見られ、アメリカは世界の道標になり続けたと思う。そのように考えるとまことに残念だとしか言いようが無い。トランプ大統領の誕生は、一重にクリントン陣営がブランドマーテケィングを実践したことに大きな原因があると私は思う。ブランドの中心にはミッションがあることを忘れてイメージ形成をするマーケティング手法が負けたのだと思う。

記hirashita