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映画「リザとキツネと恋する死者たち」

12月19日新宿シネマカリテで封切られる映画。ハンガリー映画で、数々の賞を受けた映画だ。試写会でこの映画を見たのは1ヶ月前、適齢期の女性の恋を描いた映画だと言えばいかにもそこいらにある話だが、相手が幽霊で、三角関係、四角関係へと発展する。コミカルな映画で、主役のモーニカ・バルシャイは魅力的に変身である。暖かな映画で、日本の幽霊をテーマにしているところも遠い西欧の花寺ではない。その幽霊が日本人の歌手「トミー谷」。「トニー谷」を洒落た名前である。

ところでトニー谷をあなたは知っているか。1917年生まれのコメディアンである。大正生まれである。氏は「ざんすざんす、さいざんす」「家庭の事情」「おこんばんは」「ネチョリンコンでハベレケレ」「レイディースエンジェントルメン、アンドおとっつぁんおっかさん」「バッカじゃなかろか」などの言葉を流行させている。いでたちは、いま流行りの黒縁の大きめのつり上がったロイドメガネ。少々エキゾチックな風貌に、洗練された服装。当時はキザ、イヤミなやつと評された。

でもカッコいいのだ。いまの時代では、芸人、役者、ミュージシャンと比較しても、例えることはできないほどカッコイイのだ。トニー谷に影響を受けた作家、芸能人は多い。例えば赤塚不二夫の漫画イヤミ氏は、トニー谷をモデルにしていると言われる。三島由紀夫、村上春樹の小説にも氏をモデルにした人物が登場する。破天荒とはよく言われる横山やすし以上に破天荒なのが氏だ。破天荒さゆえに芸能界で干されてゆく。氏をあわわすにはアバンギャルドという言葉が最も似合う。ちなみに、タモリもトニー谷の芸風に影響を受けていると私は思う。タモリのデビュー当時の「イグアナ」「ハナモゲラ語」などはトニー谷を思い起こさせた。

そんなトニー谷を思い出させてくれる、リザとキツネと恋する死者たち、クリスマスに見に行かれては。

写真 トニー谷さん

記 hirashita